『塔』5月号掲載歌

肉腫かもしれぬ腫瘍は子宮ごとわれから離れ検体となり

とりあえず肉腫にあらずと担当医が夕食どきにあらわれて言う

逆縁を免るるらしひとまずは ぬるき味噌汁一口すする

家族との縁が薄いのかもしれず夫なき母と吾子持てぬわれ
*ルビ 夫=つま

タクシーの運転手さんが「お大事にね」と栄養ドリンク一本くれぬ

でこぼこでできているのかこの街は傷をかばいて前かがみで行く

入浴のたびくっきりとわが腹に洞ある証受け入れてゆく


(三井修氏選)
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by mizuki_nim | 2009-05-22 21:17 |