3月25日のお歌
013:焦 (君だけに焦点合わす)瞳孔の引き絞られる音がきこえた。(黒月秋哉)
写真を撮る方でしょうか。自分の目をカメラとして捉えているのですね。
音が聞こえてきそうです。
027:液体 呆然と点滴台の液体の減りゆく様を見守る深夜(落合朱美)
おそらく病人に付き添っている人が見ているのでしょう。「呆然」に疲労感が見えま
す。疲れているのに眠れない。否、眠ってはいけない状況なのかもしれません。
029:ならずもの 風吹いておおかみのまゆげはりつく ならずものたち慈愛のおもて(唐津いづみ)
『おおかみのまゆげ』というお話があったのですがそれがモチーフでしょうか。
あのお話好きでした。
041:迷 もう別に夢はいらない迷いなく空よりあおき紫陽花を切る(丹羽まゆみ)
凛とした決意が伝わってきます。ふわふわした夢はいらないとぱちんと断ち切る
音が紫陽花を切る音と重なります。
077:櫛 櫛で梳くおまえの髪から昨晩のぼくの煙草の香が落ちてくる(黒田康之)
KOされました。素敵すぎます。
by mizuki_nim | 2005-04-05 22:08 | 題詠マラソン気になる短歌