『塔』11月号掲載歌

あの夏は暑かったのか 窓越しの青空だけが記憶より出づ

背上げせしベッドに胡坐かきながら死は怖くないと父は言いき

「予定より早すぎるが」と豊水の果汁に指を濡らして言いき

仏壇に濃く果物の匂うとき父が味見をしていると思う

定年後するはずだった篆刻の入門書の背が棚に色褪す

墓参とは決して言わざり<別宅>に行くとう母が帽子を被る


(花山多佳子氏選)
[PR]

by mizuki_nim | 2010-11-24 21:37 |