ほうたる

銀座に源氏ボタルを観る夕べ入場待ちの列に並びぬ

呼吸するごときひかりに伸ばしたる手をやわらかく網戸がはばむ

きれいねと声の聞こえる暗闇に鳥取で観しほたるを思う

樗谿(おうちだに)神社の鳥居くぐりゆき初めて見たるほたるのひかり

ほうたるが吉川宏志の手の上で明滅するを近寄りて観き

ゆくりなく手より離(か)れたるほうたるの水脈引くごときそのひかり美(は)し

地下鉄の暗がりよぎり樗谿(おうちだに)よりほうたるが眼裏(まなうら)に来る



(『塔』9月号 小林幸子氏選)





樗谿神社は鳥取のほたるスポット。
数年前の6月に塔の鳥取歌会に参加して、夜、蛍狩りに連れて行ってもらいました。何千匹ものほたるが暗闇の飛び交うさまに圧倒されました。生まれて初めて見たほたるでした。

「樗谿(おうちだに)のほうたる」は、今もときどきわたしの眼裏にやってきます。
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by mizuki_nim | 2012-12-03 21:40 |