五十七歳
キャスターの「五十七歳でした」と言ふ声流るるに画面見にゆく
ああと声が出でてしまへり死に向かふ速さを誰も知らずに生きて
享年が父と同じであることを母はテレビに向かひ言ふらむ
立ち止まるひまなき朝にあの居間の色の褪せたる遺影をおもふ
二十代のわれには遠き五十七歳(ごじゅうなな)いまなら少しわかる はやいな
マンホールの蓋を押し上げくるやうなおもひにわれはいつも驚く
(『塔』三月号 黒住嘉輝氏選)
by mizuki_nim | 2013-04-09 21:55 | 塔
キャスターの「五十七歳でした」と言ふ声流るるに画面見にゆく
by mizuki_nim | 2013-04-09 21:55 | 塔
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