枯野いづこ

売店の前のベンチにジャムパンを食べ午後からの診察を待つ

うつむきてをんなが並ぶ長椅子に座るちひさき番号握り

「来なくていい」と告げられたきに担当医は半年先の日付を選ぶ

ポケットに枯野を折りたたむ歌のありあなたには草原がある

けふ歩く渡り廊下に六花より水粒(みつぼ)となれる音絶え間なし

ながくながく上向かぬままきたるかな灯りを換へて頚の痛みぬ

ささくれ立つ唇に触るわれが火を打つべき枯野いづこにかある


(塔4月号掲載 栗木京子氏選)



4首目
ポケットに枯野を折りたたんでゆくやさしいはずの人に逢ふため   田村元『北二十二条西七丁目』


7首目
君が火を打てばいちめん火の海となるのであらう枯野だ俺は  真中朋久『雨裂』


田村さんの枯野の歌を読んで、真中さんの枯野の歌を思い、2首ができました。
[PR]

by mizuki_nim | 2013-05-19 20:29 |