そのさきに夏

「あつてはならないこと」でできてゐるたぶんこの世の半分ほどは
ライトバンのドアにキンデラハイア、ああかろさんのかほがほかんと浮かぶ
なかなかにチョコ味が出(で)ずサクマ式ドロップスの缶いくたびも振る
紫蘇ジュース作りたるわが指先に渋き色せる指紋浮き出(い)づ
氷砂糖日ごとに溶けてゆきたるを梅のかをりのそのさきに夏
たとへば火、絶やさぬことを思ひゐる手のひらの丘指で押しつつ
都営線のホームに鳥の声聞こゆうつしみ持たぬ平板なこゑ

(塔9月号  小林幸子氏選)

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by mizuki_nim | 2014-04-06 14:09 |