無花果

無花果を友と食べしは去年(きぞ)のことくろぐろとせる果実購ふ
耳たぶにしろがねの羽根ゆらせつつ若き男が文庫本読む
帰りゆくひとに交じりて乗る電車うすべにいろの雲が輝く
面会のカードを書きて守衛から面会証のシールをもらふ
ああ月がきれいですねとイヤフォンのコードほぐれぬまま歩きだす
暮らしてはゆけない土地のうつしく望遠鏡に見たる月面

(塔12月号 吉川宏志氏選)

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by mizuki_nim | 2014-04-06 14:18 |