冬に

遠吠えのやうなるものが道をゆく「火の用心」と聞こえくるまで
帰省するバスの窓より見る冬田アップルパイを膝の上に置き
数日の帰省にあれど新しき羽毛布団がわがためにある
やみくもに食べたくなつて買ひにゆくベーカリーにはカレーパンあらず
永田家に生る柚子のこと思ひつつ八百屋の棚に香る果を選る
前門の虎後門の狼や朝の街路に鳩が回りぬ

(4月号 栗木京子氏選)

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by mizuki_nim | 2014-12-30 21:56 |