ほんたうは

滑るほどつるつるなのかキャンパスの百日紅の幹に触れたり
ほんたうは君を見てゐつ横がほの向かふに上がり崩るる花火
屋上への扉は施錠されてゐて空つてこんな遠かつたつけ
一面の夕陽であつた。そののちの灯をともす窓、夜うつす窓
まぶた閉づわたしが言はぬことがありあなたが言はぬこともあるらむ
受入印押して並ぶる雑誌架の9.11、9.11
細きひものほそきヒールのサンダルを履かずに箱にしまふ夏ごと
君のゐるところに雨が降つてゐて折りたたみ傘かばんに入れぬ

(12月号 山下洋氏選)

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by mizuki_nim | 2015-02-02 21:58 |