003 あしひきの

003: 柿本人麿(かきのもとのひとまろ)
あしひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む
あしひきの やまどりのおの しだりおの ながながしよを ひとりかもねん
山鳥の長く垂れ下がった尾のような長い長い夜をあなたと離れてひとり寝するのかなぁ・・・・・・。

あしひきの・・・枕詞。
1.「山」および「山」を含む語「山田」「山鳥」などにかかる。
2.「峰(を)」「八峰(やつを)」「岩根(いはね)」などにかかる。
のち、「あしびき」と濁るようになった。
山鳥の・・・枕詞。
1.山鳥は雌雄が峰を隔てて別々に寝るといわれたところから、「ひとり寝(ぬ)」にかかる。
2.山鳥の尾の意で、「尾」と同音を含む「尾上(をのへ)」や似た音を含む「おのれ」「おのづから」などにかかる。
しだる・・・垂ると書く。長くたれ下がる。しだれる。したがって「しだり尾」は長く垂れ下がった尾の意。
かも・・・詠嘆の気持ちを込めた疑問の意を表す。…かなあ。

*作者について
柿本人麻呂とも。謎なお方。『人麻呂の暗号』なんて本もあるくらいですから。持統天皇、文武天皇に仕えたようで、歌聖といわれています。

官吏だったようなので単身赴任中の歌でしょうか。さみしい夜なのです。
長い夜といえば松山千春・・・・・・じゃない秋(秋の夜長)ですが、山鳥の季語は春。秋の夜なのか春の夜なのか。どちらにしろ、ひとりの夜は長くてさみしいんです。
実はこの歌、本当に人麿作かどうかはわかりません。万葉集に
思へども 思ひもかねつ あしひきの 山鳥の尾の 長きこの夜を
という作者不詳の歌があり、その左註に「或本の歌に曰く」としてこの歌が出ています。しかし、人麿作とは書いてありません。

本歌取りのキーワード:さみしい夜
真夜中に着信音がひとつ鳴るさみしいんだね わたしもなんだ
あ、だからと言ってイタ電はいけませんよ。

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by mizuki_nim | 2005-07-29 22:34 | 本歌取り