008 わが庵は

008: 喜撰法師(きせんほうし)
わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人はいふなり
わがいおは みやこのたつみ しかぞすむ よをうじやまと ひとはいうなり
わたしの庵は都の東南(宇治)にあって(宇治の山の中に)さように住んでいる。その宇治の山をわたしが世を「憂」しとして入ったうじ山であると世間の人は言っているそうだ。

都のたつみ・・・都の東南。宇治は平安京の東南にある。「たつみ」は辰巳・巽と書き、十二支によって方角をあらわしたもの。
しかぞすむ・・・さようにすむ。「しか(然)」の指示する内容は、「都のたつみ」であり、「宇治の山の中に隠れて」という意。「しか」に、十二支の「鹿」を掛けているという説がある。
世をうぢ山・・・「世を憂し」「宇治山」の掛詞。宇治山は今の京都府宇治市周辺の山。ここでも「う(卯)」「うし(丑)」と十二支を詠み込んでいる。
人はいふなり・・・世間の人は言っているそうだ。「なり」は伝聞推定の助動詞。

*作者について
宇治山に住んでいた僧。

高校生の時に暗記させられた時は意味が全然わからず、「しかぞすむ」は「山の中に鹿と一緒に住んでいる」のだと思っていました(汗
今回、ちゃんと調べてみて、言葉遊びに満ちた歌なのだと知りました。たつ・み・しか・う・うし、と十二支のうち五つを詠み込むということをしているんだそうです。あれ?でも、鹿って今の十二支にはないんですけど。

本歌取りのキーワード:たつみ
うしとらにあやかし出でてきゃわきゃわと暫し遊びて明け方に消ゆ
わが家は都のたつみ下町にありて渋いと人は言うなり

一首目。うしとらの方角は鬼が出入りする方角、鬼門と言われています。うしとらと言えば『うしおととら』っすよ。とらがかわいくて好きでした(わからない方すみません。少年漫画です)。恐ろしいというよりは愛嬌のあるあやかしたちが出てくるイメージで詠みました。
二首目。偶然ですが、わたしも都の辰巳に住んでおります。職場の同期には「渋い」と言われました。確かにオシャレな街ではありません。が、わたしは気に入ってます。大型書店がないのが不満といえば不満かなぁ。

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by mizuki_nim | 2005-08-03 21:57 | 本歌取り