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010 これやこの

010: 蝉丸(せみまる)
これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関
これやこの ゆくもかえるも わかれては しるもしらぬも おうさかのせき
これがまさにあの、(東国に)行く人も(都に)帰ってくる人もここで別れ、知り合いもそうでない人もここで逢うという逢坂の関なのだなぁ。

これやこの・・・「これがあの噂に聞くあの」というほどの意味です。「や」は詠嘆。この句は「逢坂の関」にかかります。
行くも帰るも・・・(東国に)行く人と(都に)帰ってくる人。
知るも知らぬも・・・知人も見知らぬ人も。
逢坂の関・・・逢坂の関は、山城国(現在の京都府)と近江国(滋賀県)の境にあった関所で、この関の東側が東国だとされていた。「逢坂」は「逢ふ」の掛詞。

*作者について
逢坂の関あたりに住んでいた盲目の琵琶の名手。
今昔物語には、源博雅(博雅の三位)(夢枕版『陰陽師』における安倍晴明の相棒♪)が蝉丸の元に通い詰め秘曲を習ったというお話があります。

関所の出会いと別れは今で言うと駅や空港の出会いや別れでしょうね。

本歌取りのキーワード:逢う、別れ
叶わないときのことなど考えず片道切符持って発つひと
泣かないし見送りなんて行かないしサヨナラだって言いたくないし


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by mizuki_nim | 2005-08-06 20:23 | 本歌取り