012 天つ風

012: 僧正遍昭 = 良岑宗貞(そうじょうへんじょう = よしみねのむねさだ)
天つ風 雲のかよひ路 吹きとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ
あまつかぜ くものかよいじ ふきとじよ おとめのすがた しばしとどめん
空を渡る風よ、雲をたくさん吹き寄せて、天上の通り路を塞いでしまっておくれ。天女の美しい姿を、もうしばらく引き留めたいのだ。

天つ風・・・天空を吹き渡る風。
雲のかよひ路・・・雲や月、鳥などが通ると想定された、空の道。
乙女・・・天女。五節の時に歌われる「天人の歌」、「乙女子が 乙女さびすも からたまを 乙女さびすも そのからたまを」に由り、舞姫を「乙女」と呼んだもの。五節の舞は古来の宮廷舞楽。新嘗祭などで舞われ、公卿・国司の娘より美しい少女を選んで舞姫にした。

*作者について
桓武天皇の孫にあたる。仁明天皇の寵臣として蔵人・蔵人頭などを務めたが、三十五歳の時、天皇崩御に殉ずるかのように出家した。

ええ、これお坊さんが詠んだの?と最初に思いましたが、古今集では作者名が良岑宗貞となっており、遍昭出家以前、仁明天皇に仕えていた頃の作のようです。俗世にいた頃の歌なのね。随分と綺麗な舞姫がいたんでしょうね。

本歌取りのキーワード: 乙女、天、とどめる
オーロラも虹も乙女も天にある儚きものはとどめておけぬ
可憐なる笑顔をとどめておきたくて繰り返し観た『ローマの休日』

二首目:本歌が百人一首の中で一番好きだといっていた亡父はオードリー・ヘップバーンのファンで、とりわけ『ローマの休日』がお気に入りでした。本歌を読んでいるうちにそんなことを思い出しました。

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by mizuki_nim | 2005-08-09 22:30 | 本歌取り