016 立ち別れ

016: 中納言行平 = 在原行平(ちゅうなごんゆきひら = ありわらのゆきひら)
立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む
たちわかれ いなばのやまの みねにおうる まつとしきかば いまかえりこん
お別れして、因幡へと去ったら、稲羽山の峰に生えている松ではないが、私の帰りを待ち遠しく思ってくれるだろうか。都の人たちが待っていると聞いたなら、すぐ帰って来よう。

いなばの山・・・鳥取県岩美郡国府町の小山。稲羽山、稲葉山とも書く。国庁跡の東北。ただし固有名詞でなく「因幡の国の山」と見る説もあり、また『歌枕名寄』など中世の歌学書は美濃国の歌枕としている。「いなば」は地名と「去なば」の掛詞。
まつとしきかば・・・(都の人たちが)待っていると聞いたなら。「まつ」に松・待つを掛ける。

*作者について
平城天皇の孫。阿保親王の第二子で、在原業平の異母兄。蔵人・右近少将などを経て、因幡守を拝命、任国に赴任した。帰京後諸官を経て、参議に就任。さらに蔵人頭・大宰権帥・治部卿など要職を歴任し、中納言となる。仁明から光孝まで五代の天皇に仕えた。民政に手腕を発揮した有能な官吏であり、関白藤原基経としばしば対立した。

因幡の国へ赴任するときの歌。任国へ赴くときは大変な思いを抱えていたのだろう。現代なら飛行機も新幹線も車もあるし、メールも電話(テレビ電話なんかも!)もあるけれど、その頃はなかったからねぇ。こんな便利なものがある現代だって、メールや電話じゃなく会いたいときだってあるし、移動時間をとても長く感じたりする。気持ちだけは先に飛んでいくんだけれどね。

本歌取りのキーワード:帰る
あいたいと言ってくれたらいつだってあなたの元にとんでかえるよ

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by mizuki_nim | 2005-09-18 19:34 | 本歌取り