018 住の江の

018: 藤原敏行朝臣(ふじわらのとしゆきあそん)
住の江の 岸による波 よるさへや 夢のかよひ路 人目よくらむ
すみのえの きしによるなみ よるさえや ゆめのかよいじ ひとめよくらん
住の江に寄る波は、昼も夜も寄せてくるのに、あなたは夜でさえも来ないのですね。夢の通い路の人目を避けるからなのでしょうか。

すみの江・・・大阪市住吉(すみよし)の古称。当時は入江があった。「すみ」に「墨」を意識し、静かな暗い海を暗示していると思われる。住吉・住之江・墨江。
岸による波・・・ここまでが序詞。「寄る」と同音の「夜」を導く。そればかりでなく、波は昼夜問わず寄せることから第三句「夜さへや」全体にも響き、また岸を歩く時は波を避けるので、第五句の「よく」にも響くことになる、という、豊かな序詞。
よるさへや・・・(明るいうちばかりでなく)夜でさえも…か。
夢のかよひぢ・・・夢の通ひ路。夢の中で恋人のもとへ通う時、魂が通ると考えられた道。
人目よくらむ・・・恋人が来ないのは、人目を避けるからだろうか。「らむ」は原因・理由を推量する心。用心深すぎる恋人に対する恨みを籠めている。「よく(避く)」の主語につき「私は」とする説もある。

*作者について
三十六歌仙の一人。藤原氏出身者として最初の傑出した歌人。また、書の達人でもあった。

別に禁断の恋じゃないけれど、人目を気にする、って、昔も今もありますよねぇ。

本歌取りのキーワード:人目を避ける
他人行儀・手の触れぬ距離・眼差しも交わさぬ それでいいのあなたは
手をつなぐ恋人たちを目で追って空(から)の片手を軽く握った


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by mizuki_nim | 2005-09-20 20:15 | 本歌取り