カテゴリ:塔( 82 )

『塔』1月号掲載歌

すいと傘傾げてくれし青年と恋に落ちたし秋雨の朝

こつこつと指で鎖骨をたたくとき胸の泉にさざなみの立つ

濃紺のスーツに仕舞いし翼よりひとひらこぼれ落ちたる羽毛

それらしくネクタイしめて近頃の天使は(どこへ)出勤をする

4番出口より青空をのぞみつつ天使の行方について思えり


(花山多佳子氏選)
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by mizuki_nim | 2008-01-26 17:12 |

『塔』12月号掲載歌


夏の、母の味なるブルーベリージャム琺瑯鍋にマグマのごとく

持ちて来し空瓶いっぱいに詰めらるる藍黒色のジャムの輝き

あれもこれも食べろと言いぬ「子はいつも空腹なる」と信じいるらし

ダイヤモンドダストのごとき江戸風鈴銀座通りにりるりると鳴る

三世代おやこが帯の蝶々を揺らして横断歩道渡れり

有りの実の瑞々しきを音立てて食めばそろそろ秋がはじまる
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by mizuki_nim | 2007-12-15 22:39 |