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『塔』11月号掲載歌

いつだって話をうまく終えられぬツクツクホーシの鳴き方のよう

弟が泣き止むまでを<お兄ちゃん>はじっと待ちいるバナナ抱えて

「サウナだね」と笑いてエアコン修理する人の前歯が三本欠けおり

飛行船オレンジの雲銀の月 今日のいいこと数えて帰る


(黒住嘉輝氏選)
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by mizuki_nim | 2008-11-29 16:18 |

フォルテピアニシモ vol.3 ~涯(はたて)の歌~

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もしかしたら、伊津野重美(いつのえみ)さんは<端っこ好き>ではないだろうか。ついそう思ってしまうほど彼女の作品には「涯」「切岸」「岬」がよく出てくる。
朗読を聞く〈作品を読む)うち、これらのキーワードは、「自分と他者」「光と闇」「生と死」「過去と未来」といった観念的なボーダーを想起させる。伊津野さんはこのボーダーを、巫女のようにかるがると行き来する。

囁くような詩の朗読が始まってすぐに言葉が映像になる。あいかわらず伊津野さんの言葉の力はおそろしい。ライブの数日前に伊津野さんに「泣く気まんまんです。ハンカチ握り締めて行きます」と宣言したとおり、早速涙腺が開いてしまう。「精霊流し」という作品では滂沱。前半最後の「Grace」(短歌)に「アメイジング・グレイス」(アイリッシュミュージック風)を合わせているのが印象的だった。

チェロのmori-shigeさんとのコラボもすばらしかった。ゴーシュのせいなのか、宮沢賢治の作品にはチェロがぴったりだ。やわらかい音色の中、伊津野版「やまなし」の蟹の兄弟のかわいらしいこと!CD化して出して欲しいくらい。チェロの音質と伊津野さんの声質はとても相性がよいと思う。

ライブ最後の作品「遍し 光」は圧巻。これは、もう(またしても!)泣くしかない。

途中、演出でステージの照明が消された。真っ暗な中に伊津野さんが片手を高々と掲げているのがわかった。こころが立ち尽くしてしまっているとき、いつも伊津野さんが呼んでくれる。その姿だった。やはり伊津野さんは標なのだなぁと思う。

会場では写真家岡田敦さんのミニ写真展もあった。以前、「BEAMS JAPAN × OKADA Atsushi EXHIBITION」でも見せていただいていたが、やはりオリジナルプリントの力を感じた。あの、小さな四角の中に漲っているものをなんと表現したらいいのか。
わたしは、歌集には入っていない、白の紫陽花(たぶん)に囲まれた伊津野さんの写真が一番好きだ。画面いっぱいの毬花の中にいる伊津野さんはなんだか妖精のようだった。

これを一区切りとして、ソロライブはしばらくお休みされるとのこと。ちょっと残念だけれども、次のステップのために力を溜められるのだろう。涯の先から、海が始まる。涯の歌の先から何が始まるのか楽しみに待つことにする。

伊津野重美さんのホームページ http://homepage2.nifty.com/paperpiano/
mori-shigeさんのホームページ http://www.mori-shige.com/
岡田敦さんのホームページ http://www2.odn.ne.jp/~cec48450/
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by mizuki_nim | 2008-11-11 20:21 | 徒然につづる

いつでも

海からの風が坂道のぼるとき君はいつでも飛び立っていい

『短歌』公募短歌館 今野寿美氏選 秀逸 2008年10月号



わが裡に棲みつきたりし鬼のいて宇治の流れに手を差し入るる

『短歌』公募短歌館 秋葉四郎氏選 佳作 2008年11月号
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by mizuki_nim | 2008-11-10 19:38 | 投稿短歌

いちょう

このところいちょうを見上げている。

  空に近い枝の方から色づいて鴨脚樹は冬に傾ける耳   魚村晋太郎
   *ルビ(旧かな) 鴨脚樹=いちやう     『花柄』(砂子屋書房)所収

10月にはわからなかったのだが、11月に入って黄色になってきた。空に近いところから。
「ああ、歌の通りだなぁ」と上ばかり見て歩いていると、危ない。ぶつかったり、こけたり、ぎんなんを踏み潰してしまったり(くさい!最悪!)する。
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by mizuki_nim | 2008-11-09 23:05 | 徒然につづる