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作品特集二十首連作

ルートから外る

ぬばたまのアスファルトより一匹の黒揚羽蝶立ち上りゆく

日ざかりのだらだら坂をくだりゆく肉屋のならびに義肢製作所

図書館への近道にあらずこの路地は住宅街をゆるくカーヴす

海抜が低くなりゆく坂なかば赤白青を吸い上ぐる筒

朝刊に昭和の日付ありそうな床屋に羽衣ジャスミンの咲く

サビ猫が光の中に伸びすれば金粉蒔かれたるごと光る

T字路を折れればふいに切岸となり下りゆくことをためらう

異音立て駱駝のように唾をはく男の姿じょじょに現わる

朝と夕古本屋さんのおばあさんと老ブルドッグが立つ道に出る

いくとせも同じ道しか通らざり坂多き町橋多き町

ルートから外るがよろし にわたずみ空をたたえてわたしを映す

ほの白くコンクリートのきだはしに腹をさらして蝉が死におり

光りいる枯れ葉を拾い幼子はくるんくるんとうらおもて見る

シネコンの帰りに橋を三つ越うあかあおみどりの欄干に触る

追い追われ全速力の自転車で小さき橋を子らがかっ飛ぶ

ハンドルをぶるぶるさせて自転車をこぐおみなごがしんがりにいる

失うものなんてないじゃん。欄干に背(せな)を預けて男が笑う

遊歩道がかつて水路でありしこと誰かの記憶から転写さる

入射角小さくなりてトラ猫の背の半分が黄金である

ハンカチとタバコを持ちて着流しのひとが黒船橋を越えゆく

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by mizuki_nim | 2009-12-27 20:47 |

Merry Christmas

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by mizuki_nim | 2009-12-24 21:36 | ご挨拶

『塔』12月号掲載歌

それぞれのタイムリミット来てひとり去りまたひとり去り西日のまぶし

一発の花火があがり消えゆくを新幹線の車窓から見る

おみやげ、と貰いしすだち食卓に飾りてしばし色をたのしむ


(黒住嘉輝氏選)
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by mizuki_nim | 2009-12-16 19:33 |