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白雨

前をゆく男の上着ぽつぽつと雨の太さに色の濃くなる
レターパック一枚買ひにゆく昼の、ばばばばばばと傘たたく雨
雨はいい、流してくれる。透明の傘をひらきてあなたが出でぬ
窓際にきみが書きたる絵葉書がポストに届く―雨が降つてゐて
肉筆でJAPANと書かる異国には異国の雨のにほひあるらむ
午睡より覚めて暗しと思へるに雨が降り初め縦横無尽
傘持たぬひとが駆け出すやうに鳥が嵐のなかを押されつつ飛ぶ

(塔2月号 真中朋久氏選)
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by mizuki_nim | 2014-04-29 21:47 |

ふたたび腰痛

ちょっと間があいちゃいました。
根を詰めて仕事で使うプレゼン資料を作っていたのが影響したのか、
腰痛がでてしまいまいした。
はああ。
整形外科卒業間近だったのですが、またしばらく通わねばならなくなりました。
ネットで腰痛対策のクッションを真剣に探しました。
いろいろありすぎて(値段もいろいろ)、何がいいんだか……。


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by mizuki_nim | 2014-04-23 21:28 | 徒然につづる

字母を並べむ

三月のその日大きく揺れたるに活字棚より字のなだれけり
印刷機はいくたび波に濡れにけむ活字はみづに漬からざりしが
廃業ののち三階の字はすべて産業廃棄物となりけり
とりあへず持つて帰れるだけの字を土嚢袋に詰めたると聞く
ながらへたる活字がつづる詩を読みぬ「足りない活字のためのことば」を
地下鉄に運ばるるわがうちがはに字母並べむとするわれのをり
抽斗を探れば出でぬ「白」「石」といふぎんいろの金属活字

(塔1月号 花山多佳子氏選)

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by mizuki_nim | 2014-04-13 21:32 |

針金ハンガー

先日、布団を干していたら、烏が一羽飛んできて近所のマンションのベランダに着地しました。
ちょんちょんとジャンプして中に入り込むと、ごそごそしています。
やがて烏は、針金ハンガーを器用にくわえてどこかへ飛んでゆきました。

烏が針金ハンガーで巣をつくるって聞いたことはありましたが、
材料集めの現場を目撃したのは初めてでした。

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by mizuki_nim | 2014-04-09 22:34 | 徒然につづる

679円

電車に乗る時にしか使っていないのにPASMOの残金が679円でした。
ほんとに電車賃が1円単位になったんだなぁと思いました。

なんて書いているうちに今年の本屋大賞のニュースが。
『村上海賊の娘』(和田竜著 新潮社)
気になっていたのですが、未読です。





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by mizuki_nim | 2014-04-08 21:35 | 徒然につづる

無花果

無花果を友と食べしは去年(きぞ)のことくろぐろとせる果実購ふ
耳たぶにしろがねの羽根ゆらせつつ若き男が文庫本読む
帰りゆくひとに交じりて乗る電車うすべにいろの雲が輝く
面会のカードを書きて守衛から面会証のシールをもらふ
ああ月がきれいですねとイヤフォンのコードほぐれぬまま歩きだす
暮らしてはゆけない土地のうつしく望遠鏡に見たる月面

(塔12月号 吉川宏志氏選)

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by mizuki_nim | 2014-04-06 14:18 |

(UNTITLED)

月曜のあさ音をたてふるなかに傾ぐる傘の骨がきしみぬ
半地下のカフェの窓辺にさまざまの脚がすぎゆき ストロー回す
フルートの音が聞こえてももうわれは笹井宏之とすれ違へない
歌のことばひとつひとつがたましひのかけらにあれば君に触れゐる
天からの散水を待ち祖母(おほはは)は今日も畑に出てゐるといふ
母の家で寝転びながら本を読み八月十二日が終はるを

(塔11月号 真中朋久氏選)

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by mizuki_nim | 2014-04-06 14:15 |

ほうたる

暗闇がふかぶかとある抽斗を下段からあけ浴衣選びぬ
このつぎは螢に生まれこむと言ふ橋の上(へ)に立つ君の横顔
暗がりにみづは見えねどほうたるのひかりが揺らぎ水面(みなも)とわかる
あぢさゐの葉かげに螢いりゆけばほとりにひかる木のあらはれぬ
ルシフェラーゼ、と言へば笑へる君のゐてひとつの歌をともに抱きぬ
ほうたるを包まむとしてひとの手はいともたやすく離れてしまふ

(塔10月号 小林幸子氏選)


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by mizuki_nim | 2014-04-06 14:13 |

そのさきに夏

「あつてはならないこと」でできてゐるたぶんこの世の半分ほどは
ライトバンのドアにキンデラハイア、ああかろさんのかほがほかんと浮かぶ
なかなかにチョコ味が出(で)ずサクマ式ドロップスの缶いくたびも振る
紫蘇ジュース作りたるわが指先に渋き色せる指紋浮き出(い)づ
氷砂糖日ごとに溶けてゆきたるを梅のかをりのそのさきに夏
たとへば火、絶やさぬことを思ひゐる手のひらの丘指で押しつつ
都営線のホームに鳥の声聞こゆうつしみ持たぬ平板なこゑ

(塔9月号  小林幸子氏選)

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by mizuki_nim | 2014-04-06 14:09 |

盲点

星が生れ星消ゆるごと視野計のなかに明滅するひかりあり
ひかつたらおしてください。いくたびも撃ち落とすやうにボタン押したり
薄暗き部屋に入るとき眼科医の眼鏡のふちがひかりを放つ
モニターにわが盲点の(比喩でなく)映されゐるをかほ寄せて見る
執行をされたる人を呼ぶときの苗字に続く「元死刑囚」
その差異をわれはさびしむかたはらにをれども同じものの見えぬを

(塔8月号 花山多佳子氏選)

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by mizuki_nim | 2014-04-06 14:06 |