さんぐわつのその日
テーブルに折り紙の雛飾りゐてさうだうすやきたまごを焼かう
ヨーグルトの箱に3.11といふ日付け見つただの日付を
書籍落下防止装置を取り付けて図書館の地震対策終はる
一日にいくども揺るる日のありて風呂に最短時間で入りぬ
花入れの水拭き取りきさんぐわつのその日わが家で倒れたるもの
散らばれる桃の花びら集めたるあひだにもまた余震のありき
その胴に息吹き込まれざるままのピアニカ泥が白く乾きて
(塔6月号 小林幸子氏選)
by mizuki_nim | 2013-07-03 21:51